困った・・・親のトイレ問題 ~排泄介助のコツと心のケア~
排泄は、介助する側がたとえ家族であっても、羞恥心やプライドがはたらく大変デリケートな問題です。
介護者にとっても、排泄介助のやり方や配慮すべき点について、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
そんな方々のお力になれるよう、今回は排泄介助のコツと心のケアについてご紹介させていただきます。
コツその1 トイレやポータブルトイレでの介助をする場合・・・
まずはトイレのドアを引き戸にしたり、段差を無くすことや手すりをつけるなど、安全な環境づくりから始めましょう。次に、トイレの中と外の温度差を少なくしておきます。リラックスできるよう、明るく声かけを行いながら付き添います。ポータブルトイレの使用時には仕切りを使うなどの配慮が必要です。トイレを知らせずに洋服や寝具を汚してしまった場合や、一人でトイレに行って便器を汚してしまったりした場合でも、怒らずに暖かい目で見守ることが大切です。
コツその2 尿器や差込便器での介助をする場合
室温に気をつけ、明るい声かけを行います。男性の場合、手が少しでも使える場合は自分で尿器を持ち排尿をしてもらいましょう。女性の場合は、排尿でも差込便器を使ったほうが便利です。カーテンを引く・仕切りを使うなどの配慮が必要です。差込便器を使用する際は、下半身をバスタオルで覆うなどをして、目隠しをしましょう。
コツその3 オムツをつける場合
できるだけ自力でトイレやポータブルトイレでの排泄を促すために、昼間は少量用の尿取りパットなどを利用します。オムツを交換する際は、室温や明るい声かけに気をつけながら行います。カーテンを引く、仕切りを使うなどのプライバシーに配慮が大切です。夜は安心して眠ることが出来るように、大容量のオムツを使いましょう。
排泄ケアにおいて一番大切なもの…
『なるべく自分の力でトイレに行きたい…』
『人の世話にはなりたくないな…』
『家族でも恥ずかしいな…』
などなど、介護を受ける側の人々はさまざまな不安な気持ちを抱えています。認知症などの病気をお持ちの方は、そういった羞恥心やプライドを介護者にうまく伝えることができません。
本人の自尊心を傷つけずにケアするためには、本人との信頼関係が一番大切です。
トイレに行くことを嫌がる場合には、横に座って他愛無いおしゃべりをしてみたり、手をにぎるなどのスキンシップをしてみたり…心の緊張や不安を受け止めてあげてください。
デリケートな問題だからこそ、相手の立場に立った配慮が必要なのです。
そして介護者の立場の方も、罪悪感を感じる必要はありません。本人の健康を保つのに欠かせない大切な介護の一つなので、自信を持って臨んでほしいと思っています。
文 おのっち